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2018年12月 アーカイブ

2018年12月08日

ポゴレリチ、久しぶりに

2010年の連休にえらいこっちゃな演奏を聴いてからもう8年余り経過したという、このね、なんというか。ポゴレリチです。その後、長い心の患いから回復したらしい。正直、チケットを買ったときは「あれをもう1回聴く必要があるのかな」とちらっと思った。でも点が二つあれば方向は分かる。何が患いのせいで、何が個性をなすものかも判別できるだろう、そんなつもりで。
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8年前と同じサントリーホールでした。前回は春、今回は冬。演奏者背後の2階席から見ると、空席が目立ちました。開場後に練習する人だったんだっけ。ちっちゃい音でリストをさらっていました。

曲目はモーツァルトのアダージョK.540、リストのソナタ。ここで休憩が入って、シューマンの交響的練習曲(遺作変奏付き)。アンコールはなし。

リストのソナタは弊管理人の好きな曲で、黒い海に沈潜していくような音階や論争めいた高速のパッセージ、中年のロマンスみたいなw旋律と次々と面相を変えながら前半生を総括する重厚さを楽しんでいます。(すごいまとめ感なんだけど、リストは作曲時にまだ40歳前後なんですよね)

ポゴレリチの演奏は、伴奏とメロディに分かれた2本の線が進んでいく一般的なやり方ではなくて、もやもやしたガスの中に凝結核を投げ込みながら主題を出現させるような独特のものでした。音の強弱よりも、ペダリングと、ハンマーが弦を叩く音を出すかどうかで色の違いを出していたように感じます。

(もちろん「キーを押してぎりぎり音が出るか出ないか」というレベルの弱音から体重を乗せた爆音まで、ピアノというメカの可能性を余さず使って見せる凄みもあるのですけど)

このやり方は、ピアノを起点に音楽を射出するのではなく、環境中に音が満ちている感覚、演奏者が頭の中で歌う音楽の中を浮遊している感覚を与えるものでした。また、脇に置いたメトロノームや速度記号のように外部から強いられた「1,2,3,4……と刻む客観的な時間」に支配されずに、時間の経過を忘却して「見ていたい風景の見ていたい部分を見ていたいだけ見る」曲の味わい方が、あの解体的に聞こえてしまう解釈の正体だったのではないかと思います。

そう考えながら聴くと、重度に解体していた8年前に比べて、今回はずいぶん統一感を回復したなあという印象を持ってしまいます。音、音、音、という要素たちの凝視から一歩引いた(「フツーに戻った」)パターン認識のレベルへ。そういっていいなら、「音の束として聞かせたほうがいいものは、そのように聞かせる」という割り切り。ポゴレリチの世界に聴衆が浸るというスタイルは変わらないけれども、ポゴレリチの知覚の中には前より多くのもの(多分聴衆も)が映っているように思いました。

19時に始まって、終わると21時半でした。
「浸るスタイル」と書いておいてそれと反するようですが、「なんだこれ」とずっと考えさせられていて、なんかとても疲れました。

* * *

昼飯は西新宿のFISHで限定の牡蠣カレーとキーマをあいがけで。
今季そういえば牡蠣を食べていなかったところ、思いがけず賞味できてすごい満足だった。

演奏会後はおつきあいのお酒などあり、土曜はやけにいろんな人と会う日になってしまいました。

* * *

ここ3,4年、大学の試験期間前くらいになると弊日記へどっかの大学からのアクセスが増えるんですが、今年も迷い込んでこられたようです。有斐閣アルマ、教科書として人気なんですかね。あと、今年は初めて、オックスフォード大学のドメインから文化人類学の英語教科書のメモに飛んでこられた方がいました。わからんでしょうに。

忘れっぽい弊管理人は安心して忘れ・そして後から見て思い出しやすいように、箇条書きでも比較的文章っぽく書いているのでまだましかもしれないけど、他人のレジメって基本読む気がしないし、レジメを作るプロセスそのものが勉強になるんじゃないのかな。

高校のころ、友人と二人で「小室総研」という非公然組織を作って(小室哲哉全盛期だったためだが命名は弊管理人ではない)英語のリーダーの全訳を作ったり、解説をすっとばしがちだった数研出版の問題集の詳しい解法を載っけた解説書を作ったりして配布していました。1学年400人のうちそれなりの数の手に渡り、しかし結局それを使った誰よりも点取ってたのは弊管理人でした。当然ですわな。

大学ではもっとシステマティックに、クラスで試験対策のプリントを手分けして用意し共有していたようですが、もらっても質はいろいろでね……

どうでもいいけど、そんなことを思い出しました。

2018年12月03日

北から南から

12月朔日の土曜は、腹に据えかねることがあった友人に朝から呼び出されて落合某所のドトールで2時間半の大相談会、その足で午後は埼玉やや奥地の仕事へ。

昼飯食べ損ねたので、17時過ぎに富士見市・鶴瀬駅近くの「とかち村・白樺」で豚丼。
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ごく普通ですが、普通にうまかったとも言える。

別に誰に求められた仕事でもないのですが、たまに現業っぽいことをやってないと精神的な根腐れみたいになるかなあと思って。そして結構面白かったです。

帰ってきてジムに行って帰宅後に浴槽に浸かってちょっとお酒。
運動して初めてその日の体調が分かるのですが、この日はほとんど絶好調といっていい体調だったことが分かりました。ただただ面倒くさかった正月用の仕事を週半ばに一つぶん投げたのも一因かな。

* * *

日曜の昼は渋谷に「核兵器の物理学」というトークショーを聞きに行ってきました。
これもまあ仕事といえば仕事。自腹だけど。

夜は結局、寝酒のためにちょっとだけ出掛けました。
沖縄の多良間村というところから研修で東京に来ている人と隣席になって、ウォッカを飲んでいたグラスに泡盛をついでいただきながら(笑)話していたのですが、本島(糸満)出身のマスターでも分からない多良間の言葉というのがあるそうで、とても興味深かったです。

「イ゜」という発音があるそう(村サイト動画)。「L」みたいに舌を上の歯の裏に付けているように見える。でもなんか違うらしい。「R」と言われたけどよくわかりませんでした。
しかもこの「イ゜」が「飯」という重要語なので、できないと基本的な会話が成立しない。

多良間島は宮古島と石垣島の間にあって、むしろ石垣のほうに近いのですが、ご本人は「宮古島の奥の方から来ました」と言ったところをみると宮古のほうにくっついているらしい。宮古島から飛行機で20分!「船で行ってもいいですねえ」というと「船~?すごい揺れるよ」と言われました。飛行機が足なのね。へー。旧暦の8月にお祭りがあるらしいので、来年行ってみようかな。宮古島もずっと行きたいところの一つなんですよね。

ヤギ、小学生のころに父親から言われて潰したそうです。頸動脈を切ったと。素早く血を出さないと臭くなってしまうから。
「あの感覚は忘れないね~、R指定にしたほうがいいと思うよ!ヤギはくせぇから嫌い、山羊汁は食べないし、外出ないから色白だし(※そこまで白くない)で島では非国民、非島民だよ!ガハハ!」

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