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2019年10月 アーカイブ

2019年10月30日

月末

特に巨大な何があってというわけではないのですが、一山越えた後に一度よくなった調子がまたこの数日悪くなって困っています。
日中ぼーっとしていて意欲がわかず、時々いらいらし、帰ると少し頭が冴えて、しかしわりと速やかに寝付き、早朝に仕事の夢を見て胸がどきどきしながら目を覚まして「休まったのだろうか」と思いながら30分くらいのうたた寝を繰り返しつつ2、3時間布団の中にいて、出勤する日が続いています。通勤は足が勝手に体を運び(そういえば電車の中で本が読めなくなった)、仕事も取りかかると終えることはできるのでそれほど支障は出ていないと思うのですが、職場にいる間じゅう頭と体が重い。視覚的・聴覚的な刺激がきつく感じる、視界に見えているものを見ていない、何かしようとして何をしようとしていたか忘れる。体が目的を持って感覚と思考を鈍磨させている気もします。なんでしょうか。疲れているのかというと日中の眠気はないのでちょっと違う気もするけど。とりあえず記録ということでここに。まあ文章が書けてるんだから何ということもないのでしょうというのと、書くことで進行方向が変わる可能性もあるなという一歩引いた感想とともに。

2019年10月22日

交雑する

■デイヴィッド・ライク(日向やよい訳)『交雑する人類』NHK出版、2018年。

国立遺伝学研究所の講演会を覗きに行ったらこれが紹介されていまして。
David ReichのWho We Are and How We Got Hereの訳書で、英米で原書が出版されたその年のうちに出すという偉業。

数十万年前にまで及ぶ古い人骨からDNAを抽出して塩基配列を決定することが2010年ごろからできるようになっていて、それが形態や遺物などに頼っていた従来の人類進化、移動、交雑の歴史に関する研究を変えているのだそうです。著者は、現役のハーバード大遺伝学教授。「古代DNA革命」は、放射性元素を使った年代測定法の開発以来の、第2の革命だという。

本書にはもちろん含まれていませんが、今年は別のチームから、メチル化が起きているシトシンと起きてないシトシンを見分ける方法を見つけてエピゲノム解析にまで踏み込み、まだシベリアとチベットで骨の断片しか発見されていないデニソワ人の骨格の特徴を推定したとの研究まで発表されています。いやもうまじで?という世界。

古代DNAの解析(と、考古学、言語学などとの協働)で分かってきたことはタイトルの通りで、人類の諸集団は一つの太い幹から枝分かれした結果なのではなく、いろんな集団があちこちで出会っては交雑しまくってできてきたということ。今ある地域にいる集団はずっと昔にそこにいた人たちと同じ遺伝的特徴を持った子孫ではないということ。消えてしまった祖先たち「ゴースト集団」がいたこと。人間集団の移動はいろんな方向に(時にはUターンも)起き、時には同じコースで何度も起きて先発の集団を塗り替えたりしていること。

今後の課題は、ヨーロッパに比べて解析が進んでいないアジアや、出アフリカ以降の時代のアフリカなどの解析を進めることが一つ。また、これまで対象にしてきた時代よりも新しい「ここ数千年」の移動・交雑史を、これまでと違った手法で明らかにすることがもう一つ。

にしても、日本であまりそういう研究がガンガンやられているという話は聞かないなと思ったら、やはり遅れている地域の一つなのだと書かれている。

あとは、アメリカ先住民の歴史的な被害感情と、米大陸に残された骨を使った研究のやりにくさの関係についての記述が印象に残りました。「先住民とつながりのある骨を収集、貯蔵、研究する」ということへの反発があるのは彼の地だけではないですよね。

そして、こうした研究はイデオロギーと無縁でいられないという指摘も重かったです。
20世紀ドイツでみられた民族の起源とその優越性に関する議論は、実はDNA解析が明らかにした移動史で打ち砕いてしまうことができる。一方、インドへの民族集団流入に関する研究は、いまだにインド人の研究者にとっては非常にセンシティブらしい。

また、従前「集団内の多様性は集団間の多様性より大きいので人種概念は無意味」という主張が”正しい”とされてきたところ、実は複数の遺伝的特徴を組み合わせてみると、ある程度どの集団か予測できてしまうという。そのことに目をつぶっていることは早晩できなくなるし、といってそれを優劣の議論に利用するのも誤りである、その隘路をどうやって進むか。

著者の立場上仕方ないのですが、特に先住民が古人骨をコントロールすることについては「科学の進歩を感情で止めちゃだめだよね」という結論に傾きがちな印象を受けました。そしてまあこれも仕方ないのですが、ゲノミクスとにかくすげえから、という雰囲気。しかし倫理的にも技術的にも落とし穴はやはりいっぱいあるような気がする。

* * *

日常が実にゆっくりと戻ってきています。

まずコーヒーが飲めるようになり、眠りが10時間から7時間弱へと短くなり、体を動かす気力が戻ってきて、ラジオで聞こえてくる話が頭に入ってき始め、着る服を選び、髪の毛を刈り、家でご飯を炊きました。日差しがまぶしくなくなりました。金木犀が香っています。多分もう少しすると、仕事とは関係ない友人と「おしゃべり」ができるようになるでしょう。まだピアノに触ってないが、これは椅子の上に布団が置いてあるから。

仕事に関して全くストレスがない人だと思っていた、と何人かに言われたのですが、全然そんなことはありません。特に、忙しさよりも、裁量を感じられない時にストレスを感じるタイプのようです。

回復途上、たまたま北海道から東京を訪れていて数年ぶりに会った友人に「老けた」を連発されました。まあそれも分かる。実は本人にあまり自覚はないけど。

* * *

・この1週間でようやくエアコンを使わなくなりました
・秋冬用の布団を掛け始めました
・即位の礼はテレビを横目で見たくらい。「マイク使うんだ」と思った

2019年10月14日

区切れつつ続く

結局仕事は先週で区切れたものの終わらず(終了か継続かは弊管理人の力が及ばないところで決まる)、12月半ばまで続くことになりました。

9日は職場の人たちの多大な協力をいただきながら26:30に仕事を終えて会社に泊まり、翌朝は6:20に起きて、また不甲斐なくも各方面から多大な協力をいただきながら夜まで。

10日はシフトで7:00出社。前の晩に食事がてら一杯飲んだのですけど、弊管理人が「明日早いから」といって早めに切り上げようとしている横で、同じく10日に早く出ることになっていた人がホッピーをかぱかぱ飲み(結果、弊管理人の睡眠時間も短縮し)、そして10日朝はシフトに遅刻してきた。そんなことってある?

11日は頭がぼーっとしたままラジオで話をしたらぐだぐだに。

12日は台風が近づく中、16:00からのシフトのため、風雨が少し弱まったタイミングで家を出ました。普段使っている駅ではなく、家から最も近い地下道の入り口を目指したら、そちらのほうが地下を歩く距離は長いけれど全然楽で、カッパを買ってありましたが傘で大丈夫でした。
JR、私鉄各社が計画運休していましたが、弊管理人は便利なところに住んでいるので地下鉄で普通に通勤できました。普段の土曜なら人いっぱいのはずの車内は始発より空いてるくらい。
赤坂見附もこう。
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20-21時くらいが暴風雨で、25:45に車で帰った時はすっかり「ちょっと風の強い日」くらいになってました。

13日は台風一過で快晴。職場では前日の台風のあおりで仕事が発生しており、「来られる人は来て」という号令がかかったので連絡しましたが「昨日遅かったから来なくていい」。お言葉に甘えて出社は控えました。
2週間ぶりくらいにジムに行ったら、廃用症候群かっていうくらい体が弱っていました。なまってるとかじゃなくて。弱ってました。
夕方、図書館に本を返しにいく道すがら友人2人と出くわしたので、返却ポストに投げ込んでそのまま居酒屋へ。ハイボールとレモンハイ。そのあと3人で久しぶりの飲み屋さんに転戦しましたが、1杯飲みきらないうちに限界が見えてきたので21時過ぎに辞去。

23時に寝て14日は8時覚醒、9時起床で今に至ります。肌寒い小雨の朝で、季節が一気に回転した感じがします。

ぼんやりしていた視界がはっきりした(目のピント調節機能が回復した)ところをみると、体は徐々に元に戻りつつあるようです。普段なら難なくできる会話が頭が回らなくてできないという、このところの現象はどうなっただろうか。

これから2ヶ月、また長い案件が始まります。できるだけオンとオフを切り替えて乗り切りたいです。

今回、心身の健康とか人間関係の一部とか、時間とか、いろんなものを仕事に蝕まれて、「もうこんなの嫌」と久しぶりにかなり本気で思いました。しかし代わりの人もいないのでまた12月まで仕事をし、乗り切れば「うーんしかしまあ学ぶものもあったかな」といって片付けてしまうのでしょう。

2019年10月05日

ふわふわ

(比喩的な意味で)視野が狭くなって考えるのが遅くなる状態がふわふわと続いたまま土曜に入りました。

午前中から在宅で仕事をしました。会社のPCを家の大きなモニタに繋ぐことで会社の作業環境をほぼ再現できています。

15時前、一区切りつけて外に出ました。昼飯……と思いながら新宿を西へ歩いていると、青梅街道に入ってこのまま青梅まででも歩けてしまいそうなくらい体が勝手に歩いてしまいます。歩きながら中野の友人にLINEをしてお茶の約束を取り付け、青梅街道から左に折れ、住宅街を抜けて中野富士見町のモスバーガーで落ち合い、遅い昼飯にありつきました。

彼はそろそろ50歳が見えてきた勤め人で、わりとストレスとそのマネジメントに関しては経験豊富とお見受けしたので、最近のあれこれを話しました。

「必要なのはオン/オフの切り替えだ」というお言葉。そこは弊管理人のかなり本質的なところで、それだけにどう切り替えてよいかと考え込んでしまうところでもあります。

水彩画は薄い色を何度も塗りながら描いていく子供でした。頭の中にあるものを少し出しては眺め、また少し出しては眺め、を繰り返していくと全体に均整の取れた色合いにはなっていくのですが、作業がいつまでも終わらない。どかん、どかんと絵の具を置いていき、画面がすべて絵の具で埋まった瞬間が完成、とはいかないのです。

ずーっと一つのものを抱えながら、期限が来るまでちょこちょこと直す。帰りの地下鉄で、半分起きた布団の中で、「あそこをああしたら」という考えが訪れる。弊管理人の作る文書はバージョンがものすごく増えます。で、ずば抜けたものができるかというと、そうでもない。それだと、オフを作ってしまえば水準に達しないまま期限を迎えるのではないか。どこかでそう思っているのかもしれません。しかし、オフを作らない性質をこのままにして続くのだろうかとも。

モスの友人は洗濯の途中で出てきたというので45分間で話を切り上げ、また歩いて家に帰りました。やはり体は勝手に歩き、知覚には「いま微妙に上り坂」「風が吹いている」と平素ないような入力があります。いまだに部屋ではエアコンを冷房で入れ、外では汗でシャツが濡れるくらい暑いのに、いつの間にか日が短くなっていたことに驚きます。つまり、朝と深夜以外に外を歩かなくなっていたのでした。17時に家に帰ると疲れと眠気が来て、また45分間横になりました。しかし眠ってはいません。

それでまた仕事をし、20時前に再度出掛けて、十二社の「ふくろう」で冷たい鶏そばを食べました。3回目ですが、これまで2回は風邪っぴきだったので今日はやっと味が分かりました。
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ここを知るきっかけの人が勧めてくれた「あおさのり」のトッピングも、今回初めて失念せずに頼めました。確かに一瞬目が覚めるくらい風味がよい。

シューマンのピアノ協奏曲の第3楽章は無窮動めいた、ロ長調なのに弊管理人からみると明るいどころか非常に強迫的というか、精神的に参ってる曲なのですが、躁が高まったあたりで一度ふと正気を取り戻すような10数小節があります。外界と交流できるチャンネルが少しの間だけ開き、そしてまたすぐに狂っていくような。
何の話かというと、あおさのりの効果がその10数小節みたいだった、という例え。

覚えている限りでは2007年10月、2012年10月、2016年11月と大変嫌な仕事があった(なぜいつも秋なのだろう)はずですが、そのとき自分が何を体験し、何を考えていたか、弊日記にちゃんと書いてないのですね。思い出す手がかりになるような日記は書いてあるのですが。仕事のことはあまり書かないという自分ルールに従うと生活における不快の大半を書かないことになってしまうのか、書く元気がなかったのか。

2019年10月03日

じうがつはじめ記

喉痛がぶり返しそうな気配があり、37度に届くか、またぐかどうかくらいの微熱がありましたが、これはもう来週の山を越えないと回復することはない(山を越えたら一度派手に体調を崩しそうな気がするが)と割り切りました。

24~25時に床に就くとスムーズに入眠し、8時台に一度目覚め、また目をつぶると9時半、思い切って起きて椅子に座るとやっと数十分後に動く気力が上がってくるという、発熱前のサイクルが戻ってきました。これも来週まで続くと思われます。

そんな状態でインフルエンザの予防接種を受けるかどうか。町医者によると今年は例年より2ヶ月くらい流行が早い感じ、とのことなのでとりあえず打ってしまいました。打つリスクと打たないリスクではギリ後者が勝つかなと考えもしましたが、これはまあ、えいやで。

あとは、10月中旬以降の予定をぽつぽつと入れ始めています。行けたら行く、くらいのやつばかりですが。また「今この状態で判断しないほうがいいこと」について判断をするよう、10月中旬のカレンダーに書いて未来の自分に申し送りました。

* * *

■佐藤健太郎『すごい分子 世界は六角形でできている』講談社、2019年。
これは満足度高かった。研究から出てきたライターはほんと貴重。

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