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2006年09月16日
『丸山眞男』
■苅部直『丸山眞男―リベラリストの肖像』岩波新書、2006年。
大学5年目の2000年、『日本政治思想史研究』を取り上げた授業の中で姜尚中が「丸山眞男という人は、とてもtimidな[憶病な]人だったのではないか」と評していたのがなぜか心に残ってます。
で、この苅部本。仕事解説というよりは評伝、伝記的な読み物として面白く読めました。
戦時体制、学生運動、戦後民主主義へのバックラッシュ、など時代や思想の左右を問わず吹き出す抑圧に対して、普遍的な価値としての自由を対置する―優秀だが辛辣で鼻持ちならない(※)―知識人というイメージ。けれどもそれは戦中に投獄された際、抑圧に屈したというものすごく個人的な原体験に裏打ちされている。この人のもともとの志向は社会の改良ではなく、顔の見える範囲の人たちと心安い関係を結ぶにはどうしたらいいのか、といったミクロなものだったんじゃないかしらん、と思いました。
※三島由紀夫と林房雄が対談の中で丸山を批判したのに対する切り返し「事実上黙殺するだけじゃなくて、軽蔑をもって黙殺すると公言します」はいつか使ってみたいフレーズですな(笑
投稿者 b-men : 2006年09月16日 14:45
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