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2006年07月14日
ふたつの体験から
ええと何から書こうか。
■まずな、把握してる限りで、このサイト読んでる人は、自分を除くとたぶん友人2人のみ。今日はその2人を意識しつつ(「2人宛て」じゃないんですねん)ちょっと繋がりつつ別の話2題を。
■二人のうち一人は社会科学系の研究者で、まえに一緒にお茶してるときに「研究(理論の追究)と実践(実際の行動の追究)の間で悩んでいる後輩に『どちらに向かうかは各人の距離感の問題だから』と諭した」というようなことを言っていて、ううむ名言であるなあといたく感心したのだった(※うろ覚えなので違ったらスマン、指摘して下さい)。
■社会のことを勉強していると、なんとなく実際に行動してる人が偉くて、いくら机の上で研究したり文章を発表したりしても何の役にも立たない(この間当選した、大学教員出身の滋賀県知事がゆってたねえ)というコンプレックスのような心境に陥りがちなんじゃないだろうか。
■でもまあ、これまで多くの人が言ってきたように、一歩引いてみれば理論と実践は相支え合っているので、あとはどちらにどれくらいの割合で足を突っ込むかを育ってきた環境とか体験とか体力とかの適性の差が決めるだけなんだろう。
■……という納得の仕方も、実践志向の強い人から見れば多分に思弁的すぎるかもしれない。「自分は理論志向だけど、実践にコンプレックスがある」という人の苦しみを緩和することはできるだろうけれど、「なんで社会運動やらないんだ」と言っちゃったりするような実践志向の人を説得できるものではないよね。(自分はもちろん、迷える人を何人か救えるだけで十分意義のある考え方だと思う)
▼さて「なんで○○しないんだ」という問いかけっていうのが曲者だ。現に自分に動機なり理由があって何かしているときに「なんで○○しているんだ」と聞かれれば、それに答えるのは結構簡単じゃないだろうか(なんで野球してるんだ、なんで絵を描いているんだ、なんでビールを飲むんだ)。
▼しかし自分が特に意識的に避けているわけでもないのにしていないことについて、その理由を聞かれると(なんで募金しないんだ、なんでサッカー見ないんだ、なんで連絡よこさないんだ)、その質問をはぐらかすのもあまりよくないシチュエーションでは結構回答するのに苦労するのね。
▼どうしてかと考えてみると、こういう質問に
(1)否定的な答え(募金したいとか思わないから、サッカー見ようとか思わないから、連絡しようとか思わないから)で返すと、これまでとりたててその対象に悪印象があってそうしてなかったわけではないのに、まるで何か悪印象を抱いていたかのような答え方になりがちで、相手をますますいきり立たせることになってしまうわけ。
(2)一方、肯定的な答えをしようと思うと(じゃあ募金するよ、じゃあサッカー見るよ、じゃあ連絡するよ)、なんだか不承不承な印象を与えてしまったり、あるいは結局自分がそれほどしたいとも思っていないことを、まるで自分が望んだかのようにしてやらされることになる。
▼こういう、いやーな質問がなぜいやーな質問なのか。一言でいえば「理由のないことの理由を答えろと迫っているから」なんだな。それに気付けば正しい回答はおのずと分かる。「理由はありません」。
▼そう答えると、当然考えられる反応のひとつとして、相手は自分自身が持っている理由(募金する理由、サッカーを見る理由、連絡がほしい理由)をとうとうと述べてそれを理解させようとするだろう。納得できるならそれでいいが、そうでない時はやはり「言ってることはわかりますが、共感できませんねえ」と言えばいい。自分が相手にぶつけるべき「理由」を持っていないなら、相手が開陳する「理由」に正面から立ち向かうのは結局、自分を欺くことになると思う。
▼もっとも、相手と顔つきあわせてる場面を切り抜けたら、ひとりで少し考える時間を持ってもいい。人間を相手にしているといろいろ余計な要素が入るから、ひとりで「問題」とだけ向き合ったほうがよく考えることができると思う。自分はその問題と正面から対峙して考えてみて、それを受け入れるだろうか?拒否するだろうか?それはどうして?と。
▼最近「○○は必要だと思う?」というある問いかけに対して、「(とりたてて考えたこともなかったので)必要とは思わない」と答えたところ、「必要とは思わない」と「不要だと思う」という二種類の否定を混同されてちょっと険悪になったことがあり、それをきっかけにしてこんなことを考えてみました。
投稿者 b-men : 2006年07月14日 21:23
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コメント
えっとれすね。たぶんこれ話した記憶ないのだが。日記で読んだんじゃないか?
そして、これそもそも、やりたい「こと」を探しの穴に落っこちて、環境に興味があるから農学部へといっていた後輩と話していて思いついた言葉。結局その人はそのまま法学部にいって地方自治を学んでました。
ちなみに、私個人は、「なんで○○しないんだ」には、「できない!無理です!!すみません!!!(→だから空論で勘弁して!)」と答えます。すると、とりあえず丸く収まること多し。
投稿者 ericom : 2006年07月15日 18:23
あれ、そうだっけ?金魚の日に聞いたような気がしてたんだけど。で、実際にそういうアドバイスもしてないのね。
謝っちゃうって手もあったか。どうでもいいとこで意固地な自分を反省しますです。
投稿者 管理人 : 2006年07月15日 23:33