« ◎きんぎょ&西尾さん | メイン | 秋空? »

2006年04月18日

『「ニート」って言うな!』

■本田由紀、内藤朝雄、後藤和智『「ニート」って言うな!』光文社新書、2006年。

どういうわけか各方面でブームなので読んでみた次第。3人の著者が1部ずつ担当してます。

(1)本田
・まずもって働く意欲があるのに体調などの事情で求職できていない人や、求職している人まで「ニート」に含めるのはけしからん
・そして労働問題(という社会問題)を個人の責に帰すのもやめなさい。具体的には、
 ・「正社員」の地位を、新卒以外の人にもオープンにしなさい
 ・学校ではもっと職業に役立つことを教えなさい

(2)内藤
・特殊な少年事件を普遍的な問題のように扱い、扇情によって飯を食うマスメディアと、社会が不透明になって不安なオヤジどもの共犯関係によって、「ニート」(というか若者)への憎悪が生産されておる。(昔から「パラサイト・シングル」だの「フリーター」だのといって繰り返され・拡大再生産されてきた構造)
・閉ざされた世界(観)のなかで弱い者イジメをしてないで、他人の内面に関してはそれが自分の気にくわないものであっても干渉しない、自由な社会にしようじゃないか

(3)後藤
ニートを
○社会構造の問題として扱っている言説、
×自己責任や教育の問題として扱っている言説、
×本来の「ニート」の定義からやけに拡張して使っている言説、
をそれぞれ列挙してみました

って感じ。統計のトリックとか紋切り型への注意喚起という、ごくごく普通に良心的なことをすると世の中のニート論の大半が死んじゃう、という痛快っていうかオソロシイっていうかトホホな本。

投稿者 b-men : 2006年04月18日 21:37

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://sbb.flop.jp/mt/mt-tb.cgi/102

コメント

コメントしてください




保存しますか?