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2006年03月11日
『ウンコな議論』
■ハリー・G・フランクファート(山形浩生・訳)『ウンコな議論』筑摩書房、2006年。
ウンコな議論とは何か。On Bullshitが原題で、それをキャッチーながらもイメージのわかない「ウンコ(な)議論」と訳してしまったので分かりにくいが、要は「その場しのぎのテキトーな議論」で、「その真偽なんて別に気にせず口にされる」(この点で、「偽であることを知っていて言う」という「嘘」というものと区別される)ようなものですかね。そういう定義づけを延々やっているのが本文です。まあ「ウンコな議論」のウンコな例を挙げれば、首相の国会答弁なんかかしら。
で、だからどうだというと「ウンコな議論が蔓延しててムカつくんだコノヤロー」でありましょう。そんなこと本文には書いてないけど、きっとそうです。
というわけでこの本をひとことで表すと「知的怠慢批判」。
気をつけなければいけないのは、「知的怠慢批判」もコピーを繰り返すうちにそれ自体が知的怠慢=ウンコ議論になるということで、こういうのはタイミングとプレゼンテーションを仕方をよく計って出すのが肝要であります。
訳者による本文とほぼ同量の解説によれば、悪しき相対主義や反知性主義、つまり「ああも言えるしこうも言える。あれもこれもつきつめていってもキリがないもんだから真面目に真実を追求したってしょうがないやね」という1970年代の空気に倦んだ著者が、当時は匿名の怪文書として発表したのがこのOn Bullshitだそうです。おおもとの問題意識が正しいとしても、それが知的怠慢の言い訳として使われる状況にイライラしている様子が本文の最後にちょこっと書かれています。
紀伊国屋に平積みになっていたこの本のタイトルを見て手にはとってみたものの、なんとなく1365円出して買うのはやめていたところ、一昨日、後輩君の机上の本立てにしっかり収まっているのを発見したので借りて読んだのでありました。読後感は「買わなくて正解」。つまんないという意味ではありま千円。
投稿者 b-men : 2006年03月11日 17:24
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