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2006年01月11日
『国家の自縛』
■佐藤優『国家の自縛』産経新聞出版、2005年。
[読み手に不親切な感想]
1990年代までに、ポストモダンが「おまえ自身はどうなんじゃい」という問いかけをとうとう自分自身にまで向けて焼け野原になっちゃった後、残ったのは「情報→分析→対処」がいかにうまく遂行できるか、という「戦略」「ゲーム」だったのかしらん、と素人はぼんやり思った。
[んで、この本について]
産経の元モスクワ特派員による、ムネヲ事件で逮捕されたロシア屋の外交官さんへのインタビュー。
話題は専門のロシア外交からネオコン、北朝鮮、中韓など周辺にも広がっていきますが、単なる外交の裏舞台の暴露本ではないし、時事放談でもない。(1)個別の事実、(2)それを可能にした歴史・地理的条件、(3)それを抽象化した思想文化、の3層を高速で行き来しながら組み立てる外交論(それと表裏一体の国家論)。
当たり前のことかもしれませんが、こういう3層構造は外交の構造でもあり、外交に携わってきた佐藤氏のアタマの構造でもあるんでしょうね(余談だけど、本を出すなどの言論活動をすることそのものにもまたインテリジェンスとしての"語られない目的"があるんじゃないかな)。ここにはウエットな感情論や紋切り型は入り込む余地がない。特に産経側インタビュアーの「靖国」「歴史教科書」「反日」に関する質問への回答にそれが現れているように見えました。
個別の議論が妥当かどうかはよくわからないので「へぇ」と言いつつ読むのみですが、3層それぞれの勉強って大事やね、ということくらいは分かった、つもり。
投稿者 b-men : 2006年01月11日 11:30
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