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ハーフなど

■下地ローレンス吉孝『「混血」と「日本人」―ハーフ・ダブル・ミックスの社会史』青土社、2018年。

「日本人/外国人」の強力な二分法のはざまに置かれ、あるいはその時々どちらかに恣意的にカテゴライズされてきた存在。一方で、共通性に基づいた単一のエスニック・グループとしてまとめがたい多様さを有している「語りにくい」人々。その語られ方、経験され方をまとめています。校正も文章も甘いのが若干気になりますが、一定の見通しを与える重要な本。

【1945-1960s】
・戦中までの「混合民族」イデオロギー、「内地人/外地人」区別の再構成を迫られる
・旧植民地出身者問題:戸籍編成に際して、夫が内地籍→子どもは内地籍、夫が外地籍→子どもは外地籍。「日本人/外国人」境界の明確化
・混血児問題:多くは米兵と日本の女性の間の子。政府は「特別扱いしない」「騒ぎ立てない」方針の下、差別を放置。また調査における混血児の範囲を極端に限定。国際養子縁組による外部化・外国人化のドライブ
・支援:五三会、レミの会など

【1970-1980s】
・1970、アイドルグループ「ゴールデン・ハーフ」以降「ハーフ」言説の興隆
・アメリカ文化の積極的受容、ハーフタレントの称揚、商品化、ジェンダー化。同時に、消費に馴染まない「差別・貧困問題」の不可視化
・国際化と日本人論の流行→単一民族・日本人イメージの強化→ハーフの外国人化(cf.「日本人以上に日本人らしい」…)。国際結婚相手のルーツ多様化。
・朝鮮系が見えなくなる
・支援団体の活動低迷

【1990-2000s前半】
・多文化共生における日本人/外国人境界の強化
・「国際児」「ダブル」運動(ただし限定的。成人を問題の外に置いてしまう効果も)
・バブル崩壊後の雇用条件悪化と労働不足→1990入管法改定→南米から「日本人の血」をもつ日系移住増加
・外国人、子どもの支援活動活発化

【2000s後半~】
・1970以降出生の子どもら成人→自らハーフを名乗るアイデンティティ・ポリティクス
・ハーフの商品化拡大、犯罪に結びつけた負のイメージも
・ハーフ、クォーターの多様化
・SNS等を通じた当事者のメディア・アクティビズム(消費の客体から発信主体へ)、居場所機能も
・海外情勢に応じたハーフ+外国人監視の強化

【経験談の分析】からキーワードをいくつか
・詮索される体験「なにじん?」
・単一人種観multi-raciality:1人が所属するエスニックグループは1つ
・外見上見分けのつかない中国・朝鮮系→カムアウトに伴うリスク
・就職差別
・ジェンダー×ハーフ。外見ハラスメント(美醜、犯罪との結びつき)
・ネイションとの結びつき「竹島どう思う?」「フィリピンって拳銃とか普通に使ってるんでしょ」
・マイクロ・アグレッション。日常的なハラスメント

■国分功一郎『スピノザ「エチカ」』NHK出版、2018年。

『エチカ』読んでからだいぶ時間がたってしまいました。
この本てタイトルになるほどethicsなの?という疑問がちょっと解けそう。
録画してある番組はこれから見ます。

■佐藤正人『日本における再生医療の真実』幻冬舎、2018年。

いただきました。ありがとうございます。

* * *

仕事といえば仕事、くらいの案件で福島浜通りに行ってきました。
いわき湯本での前泊はもっと余裕のある時間に到着するつもりが、その前の仕事がばたついて結局20時過ぎ着。で、フリースの帽子をなくし、頭寒い頭寒いと泣きながら(うそ)「海幸」に寄せていただきました。
煮魚定食にしようと思ったのですが、念のため焼き魚が何かも聞くと「カナガシラです。知りません?ホウボウっぽい……面白い顔の」と言われ、顔見たさに焼き魚定食(1180円)を頼んでしまいました。
これ。
181222iwaki.JPG
面白いかどうかはともかく、ほくほくでとてもおいしい白身でした。3尾もあってすごい分量に見えますが、身がそれほど多くないのでちょうど満足したくらい。冬の魚らしい。
横の人が刺身定食を頼んでいて、かなり豪華でした。弊管理人は食べないけど、たぶん美味。

お宿は湯本温泉の「ホテル美里」。オーセンティック温泉街のクラシカルなホテル。カードが使えないところまでクラシカル。まじかと。

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2018年12月21日 23:59に投稿されたエントリーのページです。

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