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ハワイの歴史と文化

■矢口祐人『ハワイの歴史と文化』中公新書、2002年。

1月の訪米の最後にハワイに寄ったとき、日本人観光客や、それをあてこんだセールスあれこれ、リゾートホテル、夜中まであいてるブランドショップの狭間、そして仕事先の日本風の名字の人たち、郊外のお寺、「バターもち」という名の変な食べ物、その他ふと訪れた郊外の至る所に「何か気になるネイティヴ・ハワイアンとか昔の日本人の残り香」というのがあって、それこそ何か読んであれらが何だったのか分からないと気持ち悪い!という体験をしました。
帰国して真っ先に思い浮かんだのがこの著者です。初めてお話を聞いたのは、もう14年前になりますか。

日本人はまずサトウキビ農園の労働者として移住。そうした人たちは他にもさまざまな国から来ていて、白人の農場主は彼らが団結しないよう分断統治しながら安く使った。偏見に晒されながらハワイ人、米国人としてのアイデンティティを形成するなかで起きたパールハーバー急襲は、外からの偏見と米国人としてのアイデンティティをふたつながら強めるきっかけとなったようです。
戦後のハワイは観光立国。砂浜と青空とフラダンスの国、その裏で忘れられかける「古典のフラ」。土地を乗っ取られ、血は混ざり、文化は潜行し、そして恢復に向かうネイティヴ・ハワイアンの地位。

いや、概観するにはとてもいい本です。ブックガイドも親切。
この新書を足がかりに、最近この著者がまた出された本や、もっと特定のトピックを扱ったものに進んでみようと思ってます。

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2012年02月22日 01:01に投稿されたエントリーのページです。

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